2021年11月10日

第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)において、30カ国の政府が、ゼロエミッション車(ZEV)を、2030年かそれより前に全ての地域で持続可能で手頃な価格で入手できる、新しい常態(ニューノーマル)とするために協力することで合意した。

脱炭素への急速な転換が世界的に求められているなか、輸送セクターの進展は鍵を握る取り組みの一つである。この合意によりインド、ルワンダ、ケニアなどの多くの途上国市場においてZEVへの転換に弾みがかかる見込み。新興国・途上国での路上輸送における脱炭素のため新しく世界銀行の信託基金が新設され、今後10年で2億ドルが投資されるという。昨年11月には世界の新車販売台数の半分以上を占める市場を持つ各国政府からなる政治フォーラムにおいて、「ゼロエミッション車移行協議会(ZEVTC:the Zero Emission Vehicle Transition Council)」が発足し、初年度行動計画として2022年中に転換を加速するための国際的な協力分野を打ち出している。今回、米国も同協議会の共同議長として英国に加わった。

また、今月ムーディーズのESG部門は脱炭素への転換に向けた公益事業、自動車、航空、セメント、海運、石油・ガス等主要セクターにおける企業の進捗を評価し、将来の機会やリスクを分析したレポートを発表。2030年まで脱炭素への転換を遅らせる「遅延対策シナリオ」は、2020年代中に対策を実施する「早期対策シナリオ」と比較し、より債務不履行(デフォルト)に陥る可能性が高まると報告している。「遅延対策シナリオ」下では、2050年までに世界のすべてのセクターでデフォルトの可能性が平均10%高まり、ガス部門では、100%高まるという。