2021年2月 1日

米国資産運用大手のブラックロックは、同社の投資スチュワードシップ(BIS)の一環として、気候リスクを投資リスクと位置づけて企業への期待を明示した資料を公表し、化石燃料からの積極的な転換への道筋を長期投資家に示せるよう企業の気候関連の情報開示強化などを求めた。

BISは、企業が気候リスク管理の明確な方針と活動計画を示し、グローバルなエネルギー移行による機会を認識するよう期待している。同社のグローバル原則は、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出をネットゼロにする世界の野心的目標に沿って、地球温暖化を2℃より十分低く抑えるシナリオに、企業がどのように歩調を合わせるかについて明示するよう求めている。

今後の10年間の進捗は2050年ネットゼロの達成を左右する重要な役割を負うとし、先進国市場では石炭への依存から積極的に脱却することを期待するとした。化石燃料集約的な企業は、事業の存続を図り座礁資産を避けるために戦略的な代替案の探求と投資を進めるべきであるとする。

企業にはGHG削減目標とともにスコープ1、スコープ2排出と厳しい目標の開示を、さらに炭素強度の高い産業はスコープ3も合わせて開示するよう求める。投資家にとって、化石燃料からクリーンな代替エネルギーへの転換の進捗を認識するため、特に石炭・石油・ガス関連企業のスコープ3排出を知ることが重要である。そこでクライアントである長期投資家の代表として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)及びサステナビリティ会計基準審議会(SASB)の報告フレームワークに沿った情報開示を支持するとした。

さらに、企業の情報開示が不十分であったり、低炭素経済への移行について短期、中期、長期を含む確かな計画を示さない場合には、議決権行使のガイドラインに従い、気候リスク管理の専任取締役へ反対票を投じ、また、気候リスクとエネルギー移行に対する企業のアプローチ不足に対処する株主提案を支持するとした。

企業のディレクターに対しては、気候を管理する役員だけでなく、役員会のメンバー全員が自社の気候リスクとエネルギー移行について熟知し、計画と目標の監督を実施するよう求める。