独ミュンヘン再保険、2024年災害損害額は約50兆円と発表、気候変動による気象災害の激甚化で高い水準
2025年1月 9日
独ミュンヘン再保険は、2024年の世界の自然災害による損害額を発表した。総損害額は3,200億米ドル(約50兆円)であり、うち保険損害額は約1,400億米ドル(約22兆円)。これらの損害額は過去10年間および30年間のインフレ調整後の平均を大幅に上回り、総損害額は1980年以降5番目に高く、保険損害額は3番目に高かった。
総損害の93%、保険損害の97%をハリケーン、雷雨、洪水などの気象災害が占めている。米国を襲った2つのハリケーンが、2024年で最も損害の大きな災害であった。次いで損害額が大きかったのは、日本の能登半島地震であり、200名以上が命を落としている。死者数が最も多かった災害は、フィリピン、中国、ベトナム、ミャンマーを襲い約850名の死者を出した台風ヤギである。総損害額は140億米ドル(約2.2兆円)にのぼり、2024年で最も損害額の大きい災害のひとつであったが、保険が適用されたのはごく一部で約16億米ドル(約2,500億円)であった。
2024年は、2023年の記録を上回り、これまでで最も平均気温が高くなった。産業革命前のレベルを初めて約1.5℃上回った。人為的な気候変動が気象災害に与える影響は、調査により何度も証明されている。多くの地域で雷雨や豪雨の頻度が高まり、より極端になりつつあることで、気象災害による損害が拡大していると言える。
「異常気象の代償は誰もが払うことになるが、特に保険による補償や公的資金による復興支援がほとんど得られない国の人々は、脆弱な立場にある。国際社会は行動を起こし、すべての国々、特に最も脆弱な国のレジリエンスを高める方法を見つけなければならない。」と、気象科学者トビアス・グリムは警鐘を鳴らした。