2018年1月10日

国際NGOの気候債券イニシアチブ(Climate Bonds Initiative)は、2017年のグリーンボンド市場について最新の分析結果をまとめたレポート「グリーンボンド・ハイライト2017(Green Bond Highlights 2017)」を発表した。

同レポートによると、12月31日までの発行額合計は1,555億ドルで、2016年の872億ドルから78%増加し、年間発行額としては過去最高だった。米国、中国、フランスの3ヶ国で全体の56%を占める。また、インドは発行総額を43億ドルと倍以上に増やし、トップ10入りを果たした。グリーンボンド発行体数は240近くに増えており、37ヶ国に広がっている。フランス、フィジー、ナイジェリアの3ヶ国はグリーン国債を発行しており、今後G20やOECD諸国がこれに続くことが期待されている。

米国最大の債券発行体は連邦住宅抵当公庫(Federal National Mortgage Association、通称ファニー・メイ(Fannie Mae))で、グリーン・モーゲージ証券(Mortgage Backed Securities、MBS)プログラムの発行額は249億ドルに上り、世界グリーンボンド市場に大きな影響を与えた。また、個別の債券発行額では、フランス政府がグリーン国債プログラムの一環として2017年1月に70億ユーロを発行したのが最高。その後さらに2回のタップ発行を行い、合計額は107億ドルとなった。

グリーンボンド収益の使途はクリーンエネルギー、グリーン建築物、鉄道や都市交通網が中心。再生可能エネルギー投資が最も多かったが、その比率は2016年の38%から2017年には33%と大幅に減った。一方、廃棄物、土地使用、気候変動適用に対する投資は、定義がはっきりしないこともあって少ない。

全体としてグリーンボンドは順調に伸びているものの、気候目標達成のためには2020年までにグリーンボンド市場を1兆ドル規模に拡大する必要があると、同レポートは訴えている。