2017年3月27日

「2016年世界サステナブル投資報告(仮訳)(Global Sustainable Investment Review 2016)」が発表された。世界持続可能投資連合(GSIA:Global Sustainable Investment Alliance)加盟組織や、責任投資原則(PRI)、日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)などのデータに基づき、欧州、米国、カナダ、アジア、日本、オーストラリア、ニュージーランドの調査結果をまとめている。隔年刊行されており、今回は第3回目である。

本報告によると責任投資戦略に従って運用されている資産は、世界で22.89兆ドルであり、2014年から25%増加している。サステナブル投資の定義が厳格化された欧州を除く全地域で、サステナブル投資の市場シェアが伸びており、機関投資家運用資産総額の26%に達した。欧州・オーストラリアでは機関投資家運用資産総額の約50%、米国・カナダでは22-38%がサステナブル投資となっている。拡大の要因のひとつに受託者責任が挙げられており、パリ条約合意以降は気候変動も大きな要因となっている。また、機関投資家の運用資産総額のうち、大きな比率を占める年金基金の間で、PRIに署名する動きが広がっている。

2014-2016年に最もサステナブル投資が増加したのは日本で、JSIFによると、日本のサステナブル投資市場は4,736億ドルで、前回から70億ドル増加している。増加した理由のひとつは、JSIFの調査対象が拡大され、年金基金など機関投資家によるサステナブル投資状況が反映されるようになったことだが、2014年にスチュワードシップ・コード、2015年にコーポレートガバナンス・コードが策定されたことも要因である。また、世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名している。