WRIら、食品ロス・廃棄の測定・報告に関するスタンダードを公表
世界資源研究所の呼びかけによる国際的なパートナーシップである食品ロス・廃棄プロトコル(FLWプロトコル:Food Loss and Waste Protocol)は、デンマークなど数カ国政府が主催するグローバル・グリーン・グロース・フォーラム(3GF:Global Green Growth Forum)の2016年サミットにおいて、「食品ロス・廃棄の測定・報告に関するスタンダード(仮訳)(Food Loss and Waste Accounting and Reporting Standard)」を発表した。食品ロス・廃棄(FLW)スタンダードは、世界で初めて企業や国などがFLWについて一貫性と信頼性のある測定を行い、報告し管理するための定義や報告の要件を示したものである。
世界で8億人以上が栄養不良である一方、食糧の約3分の1が流通過程で無駄になっており、こうしたFLWは世界で年間9,400億ドル相当にのぼる。また、FLWは世界の温室効果ガス排出量の約8%を生成しており、国別排出量と比較すると中国と米国に次ぎ世界第3位の排出量となる。
FLWスタンダードを開発したFLWプロトコルは、マルチステークホルダーによるパートナーシップであり、消費財フォーラム(CGF)、国連食糧農業機関(FAO)、EUのFUSIONプロジェクト、国連環境計画(UNEP)、持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)、WRAP(英国政府系NPO、廃棄物資源活動計画)、世界資源研究所が参加する。
食品ロス・廃棄について政府やビジネス界の関心は高まっているが、FLWがどこでどのように発生しているかは具体的に把握されておらず、一貫性のある報告フレームワークがなかったため、効果的な対策を策定するための情報が得られていなかった。
国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標12.3は2030年までに食料廃棄の半減を掲げており、FLWスタンダードはこうした国際的なコミットメントの達成にも寄与すると考えられる。