WRI、持続可能な食生活へのアプローチを提言
世界資源研究所(WRI)は、新しい調査報告書「持続可能な食料の未来のために食生活を変える(仮題)(Shifting Diets for a Sustainable Food Future)」を発表した。牛肉などの動物性たんぱく質の消費を削減して、より持続可能な食生活に移行することが、人口増加による食料問題の解決策になるという。
「世界資源報告:持続可能な食料の未来を創る(仮題)(World Resources Report: Creating a Sustainable Food Future)」シリーズの11回目となる同報告書は、2050年の食料需要と今日の食料供給の間の70%のギャップを縮める方法を探る。菜食を増やした食事に移行することで食料需給ギャップは30%に縮まる。
食物の環境への影響については牛肉が特に顕著であり、タンパク質1グラム当たり豆に比べて20倍の土地が必要で、20倍の温暖化ガス(GHG)を排出する。そして、牛肉の価格は豆の3倍である。
豆、穀物、大豆、野菜などの植物性食品から人々が得ているタンパク質の量と必要なたんぱく質の量の差は一般に考えられるほど大きくない。WRIでは、消費者が持続可能な食生活を容易に選択できるように、環境への影響が最低(植物性食品)から最高(牛、山羊、羊)の食品をランク付けした「タンパク質スコアカード」を導入し、ウェブサイトで公開している。
報告書の主な内容は以下のとおりである。
・食品業界が消費者の購買に影響を与えるために、食品業界がマーケティングと行動変革戦略に効果的に活用できる「シフト・ウィール」というフレームワークを提示。
・平均的な米国人が肉類と乳製品の摂取量を減らすだけで環境への影響を半減できる。食生活を少し変えることで土地利用とGHGによる負荷を大きく削減できる。
・土地利用を考慮に入れると、日常の飲食によるGHG排出はエネルギー利用によるGHG排出に匹敵する。