2020年12月 2日

世界気象機関(WMO)は、2020年1-10月の気温データに基づく、「世界気候状況2020 暫定報告書(仮訳)(State of the Global Climate 2020 PROVISIONAL REPORT)」を発行。2020年も温暖化が進行し続けており、2011-2020年の中で3番目に気温が高く、同10年間は、2015年以降の6年間がより温暖になり、最も温暖な10年間となると報告した。

報告書は、WMOのほか国連食糧農業機関(FAO)や国際通貨基金(IMF)、ユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)、国連環境計画(UNEP)など10以上の国際機関や専門家の知見に基づいて作成された。大西洋の季節性ハリケーンはもとより、酷暑、山火事、洪水といった影響の大きい気象事象が、COVID-19パンデミックによる衛生安全や経済的安定への脅威を悪化させ、多くの人々に影響したことを示す。

COVID-19による経済・社会のロックダウンにもかかわらず、CO2は大気中に長期間留まるため、大気中の温室効果ガス濃度は増加し続けているという。

WMOの事務総長のPetteri Taalas氏は、2020年の世界の気温上昇は工業化以前の水準から1.2℃となり、2024年までに一時的に1.5℃となる可能性が5分の1あると述べた。

また、2020年は、気温を低下させる効果があるラニーニャ現象が発生したにもかかわらず気温の上昇が止まらず、記録的に気温が高かった2016年の水準に迫る高さだったという。

一方、UNEPは、「排出ギャップ報告書(Emissions Gap Report)」の2020年版を発表。COVID-19パンデミックにより2020年のCO2排出量は減少したものの、いまだに今世紀中に3℃以上の気温上昇に向かっているという。しかし、パンデミックからのグリーンリカバリーやネットゼロのコミットメントに各国政府が投資すれば、気温上昇を2℃に抑えられる可能性があるとしている。