2018年6月 6日

低炭素経済実現を目指す企業・投資家の非営利団体連合「We Mean Business」(以下、WMB)は、G7政府に向けてパリ協定目標達成のための提言を行った。企業はパリ協定に沿う形で活動を推し進めてはいるが、国別目標(NDCs: Nationally Determined Contributions)の第一段階が仮に全て達成されたとしてもまだパリ協定の目標達成に届かないことから、企業も政府も気候変動対策を更に加速させる必要がある、としている。また、各国政府と、温室効果ガス(GHG)対策への資本投資とイノベーションの加速をバックアップする政策の立案を待ち望んでいる企業間のギャップを埋めない限り、持続可能な経済成長と全ての人が享受できる繁栄はもたらされないとも述べ、WMBは目標達成のために各国政府と協調する準備がある、としている。主たる提言は以下のとおり。

パリ協定目標とのギャップを埋めるために:
・パリ協定目標へのコミットメントと速やかな実現を再確認すること
・2020年のNDCsの達成に向けて更に野心的な目標と対策を盛り込み、自国の気候変動にかかる方策におとしこむこと
・温室効果ガスを抑えつつ経済発展を遂げるために、包括的、野心的かつ長期的な戦略を早急に提示すること
・気候変動がもたらす影響に対し、レジリエンスを構築すること
・ネット・ゼロ(温暖化ガス)排出型の世界経済への移行をサポートすること

企業の(温暖化対策への)取り組みを加速させるために:
・低炭素エネルギーシステムへの変換を加速させること(特に企業の再生可能エネルギー調達を促進)
・電気自動車への転換を加速させること
・カーボン・プライシング・リーダーシップ連合(CPLC)の炭素価格に関するハイレベル会合や、CDPのカーボン・プライシングに関するイニシアチブである「カーボン・プライシング・コリドー」の2018年の分析に沿うような形で、カーボン・プライシングを力強く推進すること
・化石燃料補助金、旧来の石炭火力発電、代替フロン(HFCs: hydrofluorocarbons)からの早急な脱却
・規制を通じて気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を公にサポートすること。