2019年6月20日

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、世界で影響力の高い35社のトップ・エグゼクティブが署名し人権への取り組みを呼びかける「人権へのCEOガイド(仮訳)(CEO Guide to Human Rights)」を発表した。

当ガイドは、WBCSDとそのメンバー企業のエグゼクティブのほか、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)に関する専門家集団のShiftの協力により作られ、英語のほか、フランス語、ポルトガル語、スペイン語も出版されている。

当ガイドは、すべての企業のリーダーに対し、コンプライアンスを越えてビジネスケースとなるアクションを推進する要因として、以下4点を浮き彫りにする。
・企業への期待が規制により強制力あるものになりつつある
・企業の人権への取り組みに一般の注目が高まっている
・取引関係にスポットライトが当たっている
・投資家の期待が高まっている

自社内と取引関係の中で確実に人権への真摯な取り組みが実施されるにはCEOのリーダーシップが重要な役割を果たす。当ガイドは、そのためにエグゼクティブが取るべき行動として以下を示す。
・自社にとって最も重要な人権について知る
・トップダウンで行動を起こす
・ステークホルダーに透明性のある関与を行う
・居心地のよい領域から出て他者と協働する

エグゼクティブが署名した企業は、BT(英、通信)、カーギル(米、穀物メジャー)、ENI(伊、エネルギー)、富士通、日立、マイクロソフト、ミシュラン、ナチュラ、ネスレ、トタル(仏、エネルギー)、ユニリーバ、ヴェオリア(仏、水・環境)などである。これらの35社は17カ国を本拠地とし280万人を直接雇用し、17産業セクターにおよぶグローバルなサプライチェーンを抱える。