UNEP、地球の健全性と人類のウェルビーイングに関する予測を発表
2024年7月15日
国連環境計画(UNEP)と国際科学会議(ISC)は「新たな地平線へ―地球の健全性と人類のウェルビーイングに関する予測報告書(仮訳)(Navigating New Horizons - A Global Foresight Report on Planetary Health and Human Wellbeing)」を発表。気候変動、自然と生物多様性の喪失、汚染と廃棄物という地球規模の危機を加速させている8つの重大なグローバルシフトを特定し、18の変化のシグナルから今後の地球の健全性と人類のウェルビーイングについて予測した。
本報告書では、以下のグローバルシフトと変化のシグナルなどについて概説されている。
- ネットゼロへの移行促進により、レアアースや鉱物・金属の需要が2040年までに4倍に増加すると予測され、生物多様性への潜在的な脅威となり、汚染や紛争の増加も懸念される。
- 地球温暖化による永久凍土融解が、病原性を持つ古代の生物の放出を招き、環境、動物、人類に大きな影響を及ぼす可能性がある。
- AIとデジタルトランスフォーメーションは利益をもたらす一方で、データセンターの増加により鉱物資源や水資源の需要を増加させる。AIの軍事転用や合成生物学の発展は環境的視点からも慎重に検討すべきである。
- 武力紛争の増加は、生態系の破壊や汚染を招き、脆弱な人々へ影響を与える。
- 紛争と気候変動を主な原因とする強制移住は、人間の健康と環境へ影響を与える。
こうした予測を踏まえ、本報告書では、先住民を含む多様なステークホルダーが参加する新たな社会契約の採用や、若者により強い発言権を与えること、GDPを超えた進歩の尺度の再考などが提言されている。複数の危機により環境や人間の健康が害されている状況がある一方で、それに対処するための解決策や行動は進行中であり、本報告書はこうした行動の加速に活用されるべきである。