2018年6月 5日

国連環境計画(UNEP)は、使い捨てプラスチックの問題と対策についての包括的な報告書「使い捨てプラスチック:サステナビリティのためのロードマップ(仮訳)(Single-use Plastics: A roadmap for Sustainability)」を発表した。本報告書はインド政府協力のもとで作成され、世界環境デーにインドのニューデリーでモディ首相とUNEPによって発表された。使い捨てプラスチックにかかる課題分析、汚染対策に向けた法的措置を含む取り組みの紹介と進捗状況について世界規模での見通しを示した。60カ国以上の事例も紹介されている。

本報告書では、プラスチック汚染対策が世界中で進展を見せていること、法規制の範囲の広がり、そして法律が施行されるまでのスピードが速くなっていることなどを評価している。また、使い捨てプラスチックの使い過ぎへの具体的な対策として、廃棄物処理マネジメント方法の行政へ提言、環境負荷の低い代替素材の利用、消費者の啓発、自主的なプラスチックゴミの削減努力、使い捨てプラスチック製品の利用と販売にかかる規制などを提案している。最も効果的な対策として行政による法規制や課税が挙げられている。ゴミ削減のために企業や民間ステークホルダーから幅広く協力を得る必要性を訴えつつ、プラスチック製品生産者の責任を拡大し、循環型経済の観点で上流から対策を講じるインセンティブが重要だ、とまとめた。

なお、世界中のプラスチックゴミの47%(2015年)を占める使い捨てプラスチック容器ゴミの半分はアジアから発生しているが、一人当たりのプラスチック容器ゴミの量は米国、日本、EUが突出していることを指摘した。他方で、ドイツ、日本、南アフリカの飲料生産業者によるペットボトルのリサイクル事業を好事例として挙げている。日本は使い捨てプラスチック容器の使用に関する法規制がない中でも、高い社会規範により自主的にプラスチックゴミ回収に取り組み、高い廃棄物処理技術を駆使した結果、プラスチックゴミが環境に及ぼす影響が最小限に留まっている、と報告している。