2016年12月14日

気候関連財務ディスクロージャー・タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、「気候関連の財務情報開示に関するタスクフォースの提言(仮訳)(Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」と題する報告書を発表した。TCFDは、金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)がG20の要請を受けて2015年12月に発足させた、金融業界内外の専門家やステークホルダー32人の国際チーム。同報告書は、気候関連の財務情報開示に関し、業界主導で国際的な勧告を行う初めての試みである。この内容は、投資家・金融業・保険業が気候変動関連のリスクと機会を適切に判断し、評価するのに必要な情報を企業が特定し開示するのに役立つ。今後、2017年2月12日までの60日間をパブリック・コンサルテーション期間として、本提言に対する意見を受け付けている。

同報告書の提言の特色は以下の通り。
・あらゆる企業で採用可能な内容
・通常の財務報告の一環としての情報開示を想定
・将来を見据えた意思決定に役立つ、気候変動が財務に及ぼす影響を把握
・異なる気候変動シナリオ(+2℃シナリオ含む)が企業の事業活動、戦略、財務に及ぼす影響を予測
・低炭素経済への移行に関連するリスクと機会にフォーカス

勧告は、以下の4つを情報開示重点分野と規定している。
・ガバナンス:気候関連のリスクと機会に関するガバナンス
・戦略:気候関連のリスクと機会が、事業、戦略、財務計画に与える影響
・リスク管理:気候関連リスクの特定、評価、管理プロセス
・指標と目標:気候関連のリスクと機会の評価や管理に使用する基準や目標

提言は、企業がどのように気候変動に影響を及ぼしているか、ということより、気候変動がその企業にどのような財務的影響を及ぼすのか、という点に注目する形になっている。TCFD議長のマイケル・ブルームバーグは、「気候変動は環境問題というだけではなく、ビジネスの問題でもある。マーケットをもっと効率的に、そして経済をもっと安定的で強靭でサステナブルなものにするために、本提言に基づく取り組みがあらゆる産業に広がるようにビジネス・リーダーの方々の力を借りたい」と述べている。

WBCSD、IIRC、CDPのほか、低炭素経済実現を目指す企業・投資家団体連合「We Mean Business」も本報告書の発表を歓迎する声明を出している。