機関投資家がSECに要望書、石油・ガス企業の炭素資産リスク開示強化を要求
米国証券取引委員会(SEC)に対し、62の機関投資家グループ(運用資産額、計2兆ドル)が、石油・ガス企業の情報開示強化を求める要望書を提出した。
要望書では、石油・ガス業界に重大な経済的影響を及ぼす可能性のある炭素資産リスクについて、適正な開示を求めるよう要望している。炭素資産リスクとは、炭素排出削減規制の強化や再生可能エネルギーの成長により石油・ガス等の化石燃料の需要が低下し、収益が悪化するリスクのことである。投資家が特に懸念するのは、「コストが高く、炭素排出が多い北極圏や深海の採掘事業、あるいはカナダのオイルサンドプロジェクトなどへの事業投資を各社がどのように考えているのか」である。
要望書では「SEC規則の『既知のトレンド』にあたる重大なリスクであるにもかかわらず、SEC提出書類に情報が開示されていない」としている。また、エクソンモービル、シェブロン、カナディアン・ナチュラル・リソーシズなどの年次財務報告書の不足部分を具体的に指摘し、SECに対し、石油・ガス企業の炭素資産リスクに関する報告を精査し、発行体に対して「コメントレター」で問題を指摘するよう求めている。
要望書の署名には米国と欧州の大手機関投資家である公的年金基金や資産運用会社が名を連ねており、カルパース、コネチカット州財務省、カルバート・インベストメント、ロックフェラー・ブラザーズ・ファンドなども署名している。また、ニューヨーク州およびニューヨーク市も同日、SECに対して独自に作成した同趣旨の書簡を送った。