2017年11月28日

投資家にとって、ESG課題にまつわる懸案事項のうちサプライチェーンは最たるもののうちの1つである。にもかかわらず、投資家は、投資先企業に対して、サプライチェーン上のESG課題への取り組みやリスク管理への期待値を明確にしないことが多い、とPRIは指摘する。

この課題について投資家と投資先企業を結び付けるべく、PRIは「民間セクターにおけるサプライチェーンのESGリスク・マネジメント(仮訳)(Managing ESG risk in the supply chains of private companies and assets)」と題する手引書を発行した。

本手引書の主な目的は下記2点。
1)プライベート・エクイティ、インフラストラクチャー、及び不動産分野の投資家に対し、ポートフォリオのリスク分析機能の向上を促すこと。
2)サプライチェーン上の効果的なESGリスク・マネジメントを推進することにより、(投資家が享受する)利益の最大化を図ること。

投資先企業のサプライチェーン上のESGリスクに投資家が目を配るのは非常に困難である。なぜなら、特に民間セクターにおいては、サプライチェーンの管理、透明性の確保、並びに情報開示について企業のキャパシティが限られている場合もあるからである、と指摘している。

本手引書は投資家がサプライチェーンのリスクを査定し、マネージメントするための最初の手順を指南するものであり、投資家が投資先企業に投資の前後で投げかけるべき質問事項や、既存の事例も掲載されている。また、投資家には、ESG課題を含むサプライチェーン上のリスク・マネジメントを、企業の主要な課題として企業に認識させる力がある、と結論付けている。