2020年8月 7日

責任投資原則(PRI)は、機関投資家が投資活動を行う中で、どのように人権を尊重すべきかを6つのステップで示した文書案を発表した。2020年9月18日までオンライン上でコメントを受け付けるコンサルテーションを実施している。

2011年に国連人権理事会において全会一致で承認された、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs:UN Guiding Principles on Business and Human Rights)では、機関投資家を含むすべての民間セクターが人権を尊重する責任を有すると規定されている。同案ではこれをふまえ、人権を尊重した投資活動を行うための以下の6つのステップを提示している。

<政策面でのコミットメント>
ステップ1:人権を尊重する政策を採択し、投資方針・戦略にも組み込む。

<デュー・ディリジェンスのプロセス>
ステップ2:投資先に情報提供を求めることにより、投資ポートフォリオにおいて発生している、または起こりうる人々への負の影響を特定する。
ステップ3:起きている、または起こりうる負の影響に対し、影響力を行使する。
ステップ4:投資先による人権への影響に対するマネジメントを確認する。
ステップ5:顧客や受益者、その他のステークホルダーと、人権への影響およびその取り組みについて対話する。

<改善策へのアクセス>
ステップ6:負の影響が発生した場合、投資先がその影響を受けた人々に対する改善策をとれるよう、影響力を行使する。投資家自らが負の影響を生み出している場合は、直接改善策をとる。

ステップ3と6について、国連とOECDは影響力という意味での「レバレッジ(leverage)」という概念を用いて説明している。投資家は、投資配分、エンゲージメントや議決権行使によるスチュワードシップ、政策決定者や主要なステークホルダーとの対話などにより、影響力を行使することができる。