2024年9月11日

2024年4月にグテーレス国連事務総長によって設立された「エネルギー移行のための重要鉱物に関するパネル」は、「エネルギー移行の資源調達:エネルギー移行に必要な重要鉱物の公平と正義を導くための原則(仮訳)(Resourcing the energy transition: principles to guide critical energy transition minerals towards equity and justice)」を発表した。2030年までに再生可能エネルギー技術に不可欠な鉱物の需要が3倍になることが見込まれる中、政府や業界関係者に対し、世界的に公平、公正かつ持続可能なエネルギー移行の機会を追求する目的で、提言を行っている。この原則は、既存の国際規範と法的義務を基礎としつつも、再生可能エネルギーへの移行に内在する機会から、誰もが利益を得ることができるよう、具体的で実行可能な提言を含んでいる。

提言には、鉱物バリューチェーンにおける経済問題についての政策対話や調整を推進するハイレベル専門家諮問グループの設置や、グローバルなトレーサビリティ、透明性、説明責任のフレームワーク、放棄された鉱山等の過去の遺産に対処するための基金の設立、職人や技術者・小規模鉱山労働者が開発や環境、人権尊重の擁護に向けた移行の担い手となるようなエンパワーメント、原料効率と循環性の向上など、多岐にわたっている。

COP28で各国政府は、2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍、エネルギー効率を2倍にすることに合意したが、これらの目標達成には、エネルギー移行に不可欠な鉱物の供給量を大幅に増やす必要がある。鉱物資源開発が適切に管理されなければ、環境的・社会的課題をもたらす危険性があることから、責任ある公正なバリューチェーンを確保する目的で当パネルが設立された背景がある。

グテーレス事務総長は、この後COP29に先立ち、加盟国やステークホルダーに今回の報告書と提言を共有するよう求めている。