2022年12月 5日

化粧品大手メーカーのロレアルは、製品の相対的な環境への影響を消費者に提供する「プロダクト・インパクト・ラベリング・システム(Product Impact Labeling system)」をアメリカで展開することを発表した。本システムの導入は、ロレアルの新調査で83%の消費者が、製品の透明性に対する企業の取組みが重要であるとしているものの、製品購買時にサステナビリティに関する十分な情報があると感じているのは47%のみであり、社会の要求とのギャップがあることが背景だという。同社は消費者行動の変化にアプローチすることで、美容業界のサステナビリティ向上の加速を促すとしている。

本システムは、まず2020年にフランスで開始しされている。ロレアルの同じカテゴリーの製品を比較し、環境への影響をAからEの5段階で評価する。原材料から包装、製造工程、輸送手段、最終的な利用および廃棄に至るまで、製品のライフサイクルのあらゆる段階で、温室効果ガスの排出量、水不足、海洋の酸性化、生物多様性への影響等14の地球規模の影響要因を考慮して測定し、評価する。

北米担当のチーフ・サステナビリティ・オフィサーのマガウアン氏によると、本システムは、ロレアルが進める2030年に向けたサステナビリティの取り組み「ロレアル、未来のために(仮訳)(L'Oreal for the Future)」の中核をなすもので、環境科学の原則を用いたツールは、アメリカの消費者がより多くの情報に基づいて購入決定するのに役立ち、またブランドの透明性拡大のためのビジネス慣習を加速させることができるという。

本システム導入における判断の土台となったロレアルによるアメリカの成人2,000人を対象にした調査結果は以下のとおり。
・54%は企業のWebサイトでサステナビリティ関連の情報を得ることを期待している。
・ほとんどの人が環境への影響について少なくとも1つは関心を持っており、環境への人的影響(50%以上)、水不足(43%)、大気汚染(37%)、オゾン層破壊(35%)となっている。
・60%近くが過去1年間で、自分自身がよりサステナブルになったと感じている。

ロレアルは、上記の調査結果を受け、ロレアルが進めている環境科学、農学、バイオテクノロジー等を包括する「グリーンサイエンス」の理念の下、従来の方法と比較して環境フットプリントを削減し、2030年までに自社製品の100%が前世代の製品より環境負荷が軽減されることを目指すという目標を立てている。本システムはまずガルニエのヘアケア商品で導入され、製品情報はWebページで閲覧できる。今後、キールズ、ロレアルパリ、Redken、CeraVe等ロレアルの他ブランドに順次展開される予定である。