国連海洋会議、海洋の温暖化の深刻な状況と観測の強化を訴え
2022年7月 4日
世界気象機関(WMO)による国連海洋会議がポルトガルのリスボンで1週間にわたり開催され、7月1日に、リスボン宣言「私たちの海、私たちの未来、私たちの責任」を全会一致で採択した。当会議にはWMOの代表団や24カ国の首脳と2,000人以上の市民社会代表を含む6,000人以上が参加した。
海洋は、温室効果ガスにより閉じ込められた余分な熱の90%以上に加え、二酸化炭素排出の23%を吸収し、地球の酸素の半分以上を供給している。WMOの報告書「State of the Global Climate in 2021」によれば、2021年の海面上昇、海洋熱、海洋酸性化、温室効果ガス濃度は新記録を達成した。
世界の海面は、2013年から2021年の間に年平均4.5mm上昇し、2021年に過去最高を記録した。これは1993-2002年の間の2倍以上の速度であり、何億人もの沿岸住民に大きな影響を与え、熱帯低気圧に対する脆弱性を増大させるという。海洋酸性化は、生物と生態系サービスを脅かし、その結果、食糧安全保障、観光、沿岸保護に影響を及ぼす。海洋のpHが低下すると、大気中のCO2を吸収する能力も低下するという。
会議においては、海洋観測の強化と維持が急務であることが強調された。観測網には世界的に大きなギャップがあり、サンプル不足の地域が多く存在するという。海洋の熱量や温暖化を監視する能力は、過去20年間に大きく発展したが、海洋の酸性化や脱酸素を監視する能力はまだわずかである。海洋で稼働している1万以上の現場観測点のうち、pHや溶存酸素を測定する能力を持つものは5%未満であり、世界の海洋観測システムには課題が多いという。