ウォルマート、業界初の科学に基づくサプライチェーン排出量削減支援に資金支援するプログラム開始
2021年12月 8日
小売業の世界最大手ウォルマートは、英金融大手HSBCおよび環境に関する情報公開を推進するCDPと提携し、「科学的根拠に基づいた目標設定(SBT:Science Based Target) 」に則ったサプライチェーンのGHG排出量削減を前進させる資金支援プログラムを発表した。1.5℃目標にサプライチェーン全体でSBTを用いて初めて取り組む。
企業カーボンフットプリントの平均80%は、サプライチェーンに由来すると言われている。ウォルマートでは、対策として2017年以来「プロジェクト・ギガトン」を進めている。エネルギー、自然、廃棄物、梱包材、輸送、製品使用・設計を6つの柱として、2030年までに世界のサプライチェーン全体で排出量を1ギガトン削減する取り組み。
3,100社以上のサプライヤーがプロジェクト・ギガトンに参加しており、2020年だけでCO2相当で1.86億トンを削減している。しかしHSBCの調査によると、中小企業は社内に気候専門家が不在で、また資本へのアクセスが限られていることが変革の障害になっているという。新プログラムはプロジェクト・ギガトンの新フェーズの一環で、自社ブランド商品のサプライヤー、特に中小企業が目標に沿った経営を推進するためのスキルアップを支援する。
HSBCは2019年以来ウォルマートのサステナブル・サプライチェーン金融プログラム(SSCF: Sustainable Supply Chain Finance program)を支援している。プロジェクト・ギガトンの6つの柱のいずれかで排出量を削減するサプライヤーに対し、優先的に資金支援を行っている。新プログラムでは、プロジェクト・ギガトン参加サプライヤーは、科学に基づくGHG排出量削減目標を設定し、SBTi(the Science Based Targets initiative)の認定を受けるか、CDP気候変動レポートで一定のスコアを達成することで、SSCFを通じた資金調達の優遇措置を受けることができるようになる。