2021年3月 3日

ドイツ連邦内閣は、企業への人権デュー・ディリジェンスの義務付けに関する公式政府草案に合意した。今後、法案が議会(連邦議会と連邦参議院)で審議され、夏までに成立する予定である。

人権デュー・ディリジェンスの義務化は、ドイツ政府が2019年12月にその意向を発表して以来、実現が期待されてきた。2020年7月の調査では、ドイツ企業のうち、ビジネスと人権に関するドイツ国家行動計画(NAP)の要求事項を満たすようなデュー・ディリジェンスの取り組みを実施しているところは22%に過ぎず、これを受けて政府が法制化に乗り出した。関係省である労働省、開発省、経済省の間で、法的責任の問題などについて長らく合意がまとまらなかったが、今年2月に妥協が成立し、今回の政府草案に結実した。

市民社会、企業、行政、学術団体はこの動きを歓迎しているが、法案に残る弱点を議会での審議で是正するよう求めている。特に市民社会組織は、民事責任の欠如を批判しており、また、国連指導原則との整合性を確保し、EU全体での法律制定につなげていくよう引き続き要請している。