2021年2月 5日

欧州議会環境委員会(ENVI)は、WTOと整合したEUの炭素国境調節メカニズム(CBAM:carbon border adjustment mechanism)の導入を賛成多数で可決した。気候変動対策が十分でないEU外の取引国から輸入する全ての製品にカーボン・プライス(炭素価格)の負担を要求し、パリ協定の目標に整合した脱炭素化を世界で進めるための動機付けとする。

EUは気候変動対策を強化し大幅な温室効果ガス削減を達成しているが、輸入による排出量は増えているという。今回のCBAM導入の背景には、EU内の製造拠点が気候対策の不十分なEU外の各国に移転されれば、単なる排出の移転に留まり、世界的には気候対策に至らないという課題に応える必要性を受けてのもの。

CBAMは、EUの幅広い産業戦略の一部として、欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)のもとで取引される全ての輸入製品に適用される。CBAMの価格付けはEU-ETSのレートに基づき、発電セクターや、EUの産業排出量全体の94%を占めるものの実質的に割当から免れているとされる、セメント、鉄鋼、肥料などのエネルギー集約分野なども対象となる。2023年までの導入を目指し、委員会は2021年の第2四半期には法案の提出を行う予定。