2021年1月11日

自然保護とサステナブルで公正な経済への移行を目指す英シンクタンクのグローバル・キャノピー(Global Canopy)は、生物多様性ファイナンスの分野を総合的に解説したガイドブック、「自然への投資のための本(仮訳)(The Little Book of Investing in Nature)」を発行した。

政府や国際交渉の代表者らが、気候変動と自然損失の双方の危機に対し、計画的で早急な解決策を必要としていることをうけ、国連開発計画(UNDP)、生物多様性ファイナンス・イニシアチブ(BIOFIN)、WWF、クレディスイスなどの支援によって発行された。公共セクターやビジネス、市民社会が生物多様性の課題について金融における実践的な解決策を開発するだけでなく、投資家が現在の生物多様性ファイナンスに関する様々なメカニズムを評価する際にも活用できる。

グローバルGDPの半分以上は自然に依存しており、森林、海洋、草原、湿原を保護しようという機運は大きく高まっている。今年開催される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2021年から31年における生物多様性保全の新目標が合意される予定であるが、現状では、世界の自然保護に必要な資金は8,240億ドル不足しているという。

同ガイドブックは、そうした不足を埋めるための方法として、自然に負荷をかける活動(例えば集約農業や化石燃料開発など)への投資を減らすとともに、自然保護に資する活動(例えばグリーンエネルギーや自然インフラなど)への投資を増やしていくために、公民両セクターで開発されてきた数々の新しい金融商品やサービスについて情報を提供している。また、世界各国の政府、銀行、NGOやその協働における専門技術や、エネルギーの転換を促す取り組みなど、約40のメカニズムや25のケーススタディも紹介されている。