2019年12月 1日

保険業界が石炭から撤退するよう働きかけを行うNGOのネットワーク「The Unfriend Coal」は、石炭と気候変動に対する世界の保険会社の姿勢を評価する報告書を発表した。同報告書は、年次報告書「石炭にはもう保険をかけない-保険・石炭・気候変動へのスコアカード(仮訳)(Insuring Coal No More: The 2019 Scorecard on Insurance, Coal and Climate change)」と題し、石炭や気候変動に対する保険会社の行動をスコア化。世界の保険会社25社のうち、主要15社(総資産4兆ドル以上)が、石炭関連融資から撤退(ダイベストメント)を決め、その額は200億ドル相当に上るという。また、保険各社は新しい石炭関連案件にも消極的であるとの見方を示した。

高スコアを取得しているのは、チューリッヒ(スイス)、2015年に大手で初めて石炭からのダイベストメントを決定したアクサ(フランス)、そして新しく脱石炭に関する指針を打ち出すとしているSwiss Re(スイス)やSCOR(フランス)等の欧州各社。AIGをはじめとする米国の保険会社や、日本の保険会社として取り上げられている東京海上ホールディングス、損保ジャパン、MS&ADの評価は低い。

同ネットワークは世界の保険業界の石炭にかかるダイベストメントへの流れを評価しつつ、気候変動対策にかかる各社の対応は依然不十分であるという認識を示した。