シンガポールの環境水資源省(MEWR)は、10月31日から12月8日までの間、カーボン・プライシング法案の草案に対するパブリックコメントを募集する。同国は2019年から温室効果ガス(GHG)排出量1トン当たり10-20シンガポールドルの炭素税を計画している。パリ協定で2030年までに2005年比のGHG排出強度(GDP1ドルあたりのGHG排出量)を36%削減する目標を掲げており、法案は目標に向けた取り組みのひとつである。

シンガポールでは、既にエネルギー保全法(ECA)が施行されており、企業にGHG排出量の報告を義務付けている。今回の法案はECAと調和を図り、前年に二酸化炭素(CO2)換算で2,000トン以上のGHGを排出した事業所に届出と排出量の報告を義務付けている。

排出量が年間25,000トン以上の事業所は課税対象となる。ただし、課税対象事業所が、3年連続で排出量が25,000トン未満となった場合は、非課税対象への変更を申請することができる。同様に、3年連続で排出量が2,000トン未満だった事業所は、届出等の義務からの除外を申請することができる。また、大幅に炭素排出量が削減されたことが国家環境庁(NEA)から認められた場合にも、非課税や届出義務のない事業所への変更申請が可能である。

届出などの対象となるGHGはCO2とメタン、亜酸化窒素(N2O)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種である。

課税対象の事業所はGHG排出量に応じた、NEAが発行する固定価格の炭素クレジットを購入しなければならない。虚偽の報告や支払いの遅延、脱税などの違反については、その違反の程度に応じて罰則が課せられる。