2018年7月 3日

英国政府の機会均等省は、自国のLGBTの人々の生活向上を目的とした「LGBTアクションプラン」を公表した。

同アクションプランの公表に先立ち、英国政府は自国のLGBTの人々を取り巻く状況を把握するため、2017年7月に世界で最大規模となる全国規模のアンケート調査を実施。11万弱あまりの回答があり、LGBTの人々が日常的に偏見や差別にさらされている現状が明らかになった。例えば、アンケート回答者のうち3人に2人は、周囲の否定的な反応を恐れて同性のパートナーと人前で手をつなぐことを避けている、23%の回答者が職場でLGBTであることについて否定的な反応をされた、そして半分以上の回答者がメンタルケア医療を受けようとした際に必要以上に待たされた、等の回答が寄せられたという。
同アンケート調査結果を踏まえ、英国政府は、450万ポンド(約6億6,000万円)を拠出し、健康、教育、身の安全、そして職場環境の領域で70以上の計画を実行するとしている。今回採択したアクションプランの概要は以下のとおり。

・(性的指向の)転換療法の促進、奨励、実施を禁止するため、あらゆる法的・非法的な手段を検討する
・LGBTの人々がよりスムーズに医療サービスを受けられるよう、国立の「LGBT健康アドバイザー」を設置する
・アンケート回答者5人のうち2人の割合でヘイトクライムに遭遇しており、より深刻な事件に発展しそうな事案の10のうち9つは表面化していないことが判明したことから、警察との連携を強化する
・教育現場で、多様性や受容性を向上させ、LGBTの生徒および教師をサポートする取り組みを実施する。アンケートでは19%が、教育の現場で、言葉による嫌がらせや誹謗中傷を受けた経験があると回答している。性的指向等を理由としたいじめに対処するプログラムに力を入れるとともに、新たな課程として人間関係と性に関する教科を通じて、性的指向やジェンダー・アイデンティティに関わず、全ての生徒を支援していく

英国メイ首相は、同アクションプランが英国の社会全体に潜在する(LGBTの人々に対する)差別や不平等に立ち向かうための具体的な第一歩になるだろうとのコメントを寄せている。

本アンケート調査は、LGBTなどマイノリティな性的指向もしくは性的アイデンティティを持つ、英国在住の16歳以上の人々を対象に、2017年7月に実施された。