2022年11月 9日

国際標準化機構(ISO)は、ISO 32210「サステナブルファイナンス(Sustainable finance)」の発行に加えて、ISO 14093「気候変動への地域適応のための資金調達メカニズム(仮訳)(Mechanism for financing local adaptation to climate change)」を近日発行予定であることを発表した。これらの新たな規格は、グリーンウォッシュを防止し、市場における信頼性を高めることを目的としている。また、定義、分類などを追加するとともに、サステナブルファイナンスのインパクト評価を支援するために開発された。

気候変動対応の取り組みを進めるためには、産業革命並みの大規模な変化をデジタル・トランスフォーメーションのスピードで達成しなければならず、巨額の資金調達が必要になる。それに要する金額は2050年までに50兆ドルと試算されるが、サステナブルファイナンスの制度やアプローチが無秩序に混在し進捗が遅れており、現在の気候変動に関する支出は世界GDPのわずか0.7%にとどまっている。

新たに発行されたISO 32210では、金融セクターにおける包括的なサステナビリティの原則、実務、用語の適用に関するガイダンスを提供する。本規格は、直接貸付を行う組織や投資家、アセット・マネージャー、サービス・プロバイダーなどの金融機関や仲介機関の他、サステナブルファイナンスの提供者・受領者、政府組織、公的・民間組織機関、事業者、業界団体、金融市場規制当局、監督・規制機関など金融セクターに関わるすべての組織が活用できる内容となっている。

また、近々発行されるISO 14093は、気候変動への適応のための資金調達メカニズムを規定しており、地域レベルでの気候変動に対応する能力を強化するものである。本規格は、地域やコミュニティの適応ニーズを気候変動対策の中心に据えており、地方自治体やコミュニティレベルにおける国別削減目標(NDC)や各国の適応計画の計画・資金調達・実施・モニタリングに関する枠組みとなっている。