2021年10月 7日

総資産6兆ドル以上の94の投資家のグループが、EUにおける人権および環境デュー・ディリジェンス(DD)の義務化を支持することを再確認したと、人権に関する投資家のアライアンス組織(IAHR:Investor Alliance for Human Rights)が取りまとめ、声明を発表した。本声明は、欧州委員会とその職員、欧州議会メンバーに送付された。

EUは、欧州委員会による「サステナブル・コーポレート・ガバナンス」に関する法案待ちの状況下にある。本EU指令が実際に現場に変化をもたらすには、その詳細の内容が重要である。そのため、投資家や市民社会は、行政責任や民事責任を規定することによって、人権や環境への影響に対する企業の説明責任を確保し、影響を受けた人々が救済を受けられるようにすることを求めている。さらに投資家たちは、必要な戦略的決定がなされ、企業全体の戦略や事業運営に統合されるためには、取締役の関与が最も重要であるともしている。

今回の声明には、報告範囲、国際的な枠組みとの整合性、救済措置へのアクセス、執行とガバナンスに関する立法案への追加提言が含まれている。また、現行の法的メカニズムとの大きなギャップを強調し、大企業だけでなく、中小企業も同じバリューチェーンの一部であることを認識した上で、中小企業の責任を強調している。

企業の人権取り組みを評価するコーポレート・ヒューマン・ライツ・ベンチマーク(CHRB)の公表した2020年のランキングによると、高リスク・セクターの大手上場企業230社の半数近くが人権DDに関する5つの指標のスコアが0となっている。投資家は、企業の自主性に委ねるのは十分ではないとしている。