2015年8月 3日


オバマ大統領は、アメリカ環境保護庁(EPA)による「クリーン電力計画(仮訳)(Clean Power Plan)」の最終版を発表した。2005年比で2030年までに発電所からの炭素排出を8億7千万トン、もしくは32%削減するとしたもので、既に進んでいるクリーン電力への移行を後押しするものとなる。

なお、アメリカの炭素排出量の約1/3は発電所から発生しており、国内の最大の排出源だが、これまで炭素排出削減に関する国家的規制はなかった。

当計画では、2030年までに炭素のほかに、二酸化硫黄を90%、窒素酸化物を72%削減するとしており、9万人の喘息発作、30万日の病欠、3,600人の早死を防ぐといった健康面での効果があるという。

当計画には、提案時に寄せられた4,300万件以上のパブリックコメントや、何百回にも及ぶ関係者間でのミーティングでの意見が反映されている。また、同計画は既に各州やビジネス界で実施されている戦略にも沿うものとなっている。電力の信頼性を確保するため、州ごとに目標を設定することとし、州や発電所がそれらの目標達成に必要な時間と柔軟性を確保できるようにしている。

EPAは各州が活用できる模範ルールと、州が適切な計画を提案できなかった場合に適用する連邦政府ルールを準備しているが、いずれも、発電所が柔軟性をもって炭素排出削減目標に到達できるよう、排出量取引メカニズムを取り入れたものとなっている。また、EPAは新設、改築、再建される発電所に対する炭素排出制限の基準も併せて策定した。