2019年1月17日

保健、栄養、サステナビリティにおける世界中の専門家によって構成されるEAT-Lancet Commissionは、持続可能な食糧生産のバウンダリー(境界)を確立するための科学的な目標を示した初の報告書、「人新世(アントロポセン)の食糧:持続可能な食糧システム由来の健康な食生活(仮訳)(Our Food in the Anthropocene: Healthy Diets from Sustainable Food Systems)」を発表した。持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は本報告書の発行までに、80社以上との共同作業により食糧および土地利用システムに関するビジョン「健康な人々、健康な惑星(仮訳)(Healthy People, Healthy Planet)」を策定した。

本報告書ではビジョンの実現に向けた取り組みとして、主に以下を挙げている。
・より健康的かつ多様な、地域に即した保健ニーズと文化に合った入手しやすい食生活への移行
・農産物の収量ギャップを埋め、品質を向上するために、持続可能で健全な農業および食品生産を促進するテクノロジーと管理方法の変更実施
・技術と行動変化に対する介入の両方を駆使して、持続可能な開発目標(SDGs)の目標12.3で掲げられているフードロスを半減

ビジネスは数十年にわたり増え続ける人口に対して、数多くの食糧の選択肢を提供してきた。これからの食品業界は、おいしくて栄養価が高く、プラネタリー・バウンダリーの範囲内で育てられ、作られた食品の選択肢を提供していく必要がある。

WBCSDは、ビジネスのみの活動による変革には限界があると考えている。そのため、政府が健康的で持続可能な食生活に向けて国民の食生活に関するガイドラインの変更や、農業助成を再生型の農業慣行を支援するように目的を変更するなど変化を加速していく必要があると訴える。