2018年11月30日

CDPと気候変動情報開示基準審議会(CDSB: Climate Disclosure Standards Board)は、2017年にEUの非財務情報開示指令(2014/95/EU)が適用され、それ以降に発行された欧州企業の年次・非財務情報開示報告書に対するレビューを実施した。欧州の主要企業80社(時価総額合計3.75兆ユーロ)に対し、気候変動及び環境に関する情報開示の状況、及び気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への対応状況について分析され、「最初のステップ(仮訳)(First Steps)」として報告されている。

今回の分析結果の主なポイントは下記の通りである。

・83%の企業が事業モデルを開示している
・99%が1つ以上の主要な非財務側面への対応に関する方針を開示している
・76%が資金調達や投資における気候及び環境の影響について開示している
・79%が1つ以上の気候及び環境のリスクを特定している
・気候及び環境のリスクに対するデューデリジェンスのプロセスについて説明しているのは48%
・特定された気候及び環境のリスクについて、時間軸を特定しているのは13%にすぎない
・排出量のスコープ1、2、3の開示、及びGHG排出量の目標の開示は、それぞれ39%と41%

EU指令では義務付けられていないが、TCFD提言のガバナンス要素について開示を始めている企業もある。気候及び環境課題について、役員レベルの監督がある企業は75%であるが、役員の役割を明記しているのは64%に留まった。また、TDFC提言に全面的に準拠した報告をしていたのはユニリーバ1社のみであった。

報告書では、これらの分析の結果、企業の業績と気候及び環境課題への関連に対し、明確で統合的な結論を導くにはさらなる調査が必要であるとしている。その上で、会計指令に気候関連情報開示の要件を明記すべきであり、非財務情報開示指令とTCFD提言のコーポレート・ガバナンスの情報開示の要件を調和させ、それらの準拠について互換性を探るべきであるなど、複数の提言を示している。