CDP、企業の地球温暖化への道筋を気温で示す新レーティングを開始
2020年7月 7日
企業の環境関連の情報の開示を推進するCDPは、グローバル企業4,000社以上について、バリューチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出量と排出削減目標のデータをもとに各社の気温を算出する、「気温レーティング(仮訳)(CDP temperature ratings)」の提供を開始した。企業や投資家の地球温暖化への道筋を測定・開示するための新たな気候格付と位置付けられ、投資家は、投資ポートフォリオやファンド、株式インデックスによる将来的な気温の数値を正確に把握することができる。
気温レーティングは、CDPとWWFが開発したメソドロジーに基づき、CDPプラットフォームの情報によって算出されている。地球のGHG排出量の削減が、対象企業の排出量削減の活動と同じスピードで実現した場合に想定される地球温暖化の可能性を示す。温暖化による壊滅的な影響を避けるためには、気温上昇を1.5℃に抑える必要があるということが科学的に裏付けられているが、現状の取組みのままでは、今世紀末までの気温は3.2℃上昇すると予測されている。したがって排出削減目標のない企業の気温レーティングは3.2℃となる。
欧州最大手の資産運用会社アムンディは、初めてCDPの気温レーティングを取り入れ、4つのグローバル株式ファンドに試験的に適用している。たとえば、「Amundi Funds Global Equity Sustainable Income」はスコープ1+2が2.2℃、スコープ1+2+3が2.7℃となっている。
CDPの資本市場グローバルディレクターのEmily Kreps氏によれば、投資家は、経済変革を推進する役割を果たすために、ポートフォリオを国際的な気候目標と経済の将来像にますます一致させようとしている。CDPの気温レーティングは、企業の気候目標に対する科学的な標準を示すもので、投資家は、それに基づきポートフォリオと金融商品の気温上昇の度合いを評価し、企業と対話し、排出削減を後押しすることができると述べている。