2019年5月 7日

米国ワシントン州で今月、一連の気候変動関連の法案が成立した。その中には、2045年までに電力の100%をクリーンエネルギーにする法律も含まれており、再生可能エネルギーも有力な選択肢である旨が明記された。火力発電を2025年までに停止し、2030年までに電力の80%を火力発電以外の方法で賄うことも制定されている。その他、ビル建物の電力使用効率の向上、車両や冷蔵庫、冷房機器などの家電からの温室効果ガスの削減にかかる法案も可決した。

同州は、ハワイ、カリフォルニア、ニューメキシコ、ネバダ州に続き、米国で100%クリーンエネルギー政策を掲げる5番目の州となる。州内のいくつかの都市や地域はすでに再生可能エネルギー100%とする計画を策定しており、同州シアトル市を拠点とするスターバックスや、レッドモンド市を拠点とするマイクロソフトなどの主要企業も、将来的に100%再生可能エネルギー利用に向けて対策を取っている。ミネソタ、イリノイ、ニューヨーク、メイン等の各州もこうした動きに追随するとみられている。

米国エネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)は、今夏に米国で消費される電力について、天然ガスと再生可能エネルギーによる割合が増加し、石炭由来のエネルギーが減少するという予測を示している。昨夏は火力発電が28%を占めたが、今年の夏は25%に減少する見込みで、天然ガスは39%から40%に増加する見込みである。

なお、全米レベルでは、EIAの予測によると、水力発電を除く再生可能エネルギー(風力、バイオ燃料、地熱、太陽光)の割合は、総発電量の9%で、水力発電は7%の見込みである。また、再生可能エネルギーの中では、風力が全体の6%に達するとみられており、水力発電の割合である7%を超えることも予測される。

また、全米を西部、中西部、南部、北東部の4地域に分けた場合、再生可能エネルギーによる発電率は西部が最も高く、2018年夏の発電は、水力以外の再生可能エネルギーが15%、水力発電が22%であり、2019年夏にはそれらが23%と17%とさらに増加する見込みである。