2022年1月18日

世界最大の資産運用会社ブラックロック創業者であり最高経営責任者(CEO)のラリー・フィンク氏が、企業CEOに向けた年度レターを公表した。

2022年の書簡は、「資本主義の力」と題して、フィンクCEOは「パーパスをステークホルダーとの関係の基盤に位置づけることが、長期的な成功の鍵だ」と強調した。企業の経営者に対して、企業のパーパスに真摯に向き合い、長期的思考を優先することで、強固なリターンを提供でき、多様なステークホルダーのために「資本主義の力」を実現する手助けになるだろうとした。

「ステークホルダー資本主義」は、企業の基盤となる従業員、顧客、取引先、そして地域社会が相互に利益をもたらす関係を築くことを原動力とする資本主義である。資本主義の基盤にあるのは、絶え間なく新しいものを創り、変革していくプロセスであり、企業は、自身を取りまく環境の変化や新たな競争相手に取って代わられるリスクに対応して、常に進化し続けなければならない。企業経営者が一貫した主張、明確なパーパス、理路整然とした戦略、長期的な視点をもつことが今ほど求められている時はないとフィンク氏は強調した。

ネットゼロ社会への移行により、すべての企業、すべての業界がいずれ変革していくことになる。ブラックロックがサステナビリティを重視するのは、環境保護主義者だからではなく、資本主義者であり、顧客への受託者責任を遂行するためである。サステナビリティを重視するアプローチの一環として、同社は企業に対して短期、中期および長期的な温室効果ガス削減目標を設定することを求めている。

同社はまた、化石燃料に対する立場も今年の書簡で明確にしている。「特定のセクターから一挙に資本を引き揚げること、あるいは炭素集約度の高い資産を上場企業から非上場企業へと単に移動させるだけでは、不均衡をもたらし世界でネットゼロを実現することはできない」と指摘。同社は石油・ガス企業からの投資引き揚げを目指すつもりはないと言明する一方で、炭素の高排出セクターで脱炭素にシフトする先進的企業は、不可欠な投資機会であり、資本をこれらに向けることが世界のネットゼロ達成に重要だとした。