2018年1月30日

サステナビリティ社は、「ビジネス・インパクトの理解:2018年のサステナビリティ・トレンド(仮訳)(Business Impacts Insight: Sustainability Trends for 2018)」と題する報告書を発表した。同報告書は、2018年に大きな影響を与えると予想される問題10項目をリストアップしている。民間企業が、気候変動、社会的公正の課題、言論の自由、持続可能な移動、その他の社会課題に対する主導的な役割を担う流れが期待されるとしている。各国政府が主導権を失っていく中で、エネルギー価格の下落を背景に、再生可能エネルギーへの転換が進んでおり、多くの企業が再生可能エネルギーへの投資を拡大し、気候変動への強靭性を高めている。また、ジェンダー平等や人種差別、経済的不平等の是正などの取り組みにも弾みがついている。

「2018年の世界のサステナビリティと民間セクターに多大な影響をもたらす10項目」は次の通り。

・We Are Still In(私たちはまだ入っている)
米国とドイツが気候変動対策の主導権を失う一方で、市場が再生可能エネルギーへの転換を牽引し続ける。

・#MeToo(私も)
ハリウッドの性暴力問題をきっかけに広がった#MeToo運動をはじめ、ジェンダーや人種などの不平等を是正し包摂的な社会を求める運動の高揚。

・Charging Ahead(先に充電)
中国がガソリン・ディーゼル車の禁止に動くなど、世界的な電気自動車への転換の流れが加速。

・Media Matters(メディアの問題)
米国の「ネット中立性」原則撤廃など、言論の自由に対する締め付けがさらに強まる。

・Executive Advocacy(エグゼクティブのアドボカシー)
企業のCEOや上層部が重大な環境・社会問題や倫理問題についてツイッターや街頭で積極的に発言、行動することで社会に大きな影響を与える。

・Trash Talk(トラッシュ・トーク)
中国が廃プラスチックや古紙など廃棄物に対し、先進国からの輸入を禁止したことが、世界のリサイクル産業に大きな打撃を与える。

・The Rise of Superbugs(スーパー耐性菌)
抗生物質が効かない耐性菌の脅威が増す中、企業や各国政府が国際的な対策を加速する。

・Fair Share(公平な分配)
不平等な租税改革とタックスヘイブン(租税回避地)のデータ流出で、大企業の租税逃れに注目が集まり、失った税金への対策を求める声が高まる。

・Viva La Resilience(ビバ・レジリエンス)
頻発する気候変動による被害を受け、強靭性向上への取り組みを民間企業が主導。

・A.I. Influence(AIの影響)
AI(人工知能)の急速な普及が、軍事から農業や輸送にまで変革をもたらし、その過程で新しい倫理観への困惑とガバナンスの課題が広がる