2018年1月17日

世界経済フォーラムは「グローバルリスク報告書2018(仮訳)(The Global Risks Report 2018)」を発表した。世界の専門家および意思決定者のリスク認識を共有するために毎年1月に実施されているこの調査によれば、2018年は構造的・相互関連的性質をもつ様々なリスクが、社会・経済・国際関係の基盤的システムそのものの脅威になる。しかしその一方、経済見通しは明るく、各界指導者が社会・経済・国際関係・環境に影響を及ぼすシステムの脆弱性問題に取り組む好機になっていると指摘された。

リスクについては、グローバルリスク意識調査(Global Risk Perception Survey)を通じて、環境関連リスクへの懸念が2年連続で最も大きいことが明らかとなった。リスクは、経済的、環境的、地政学的、社会的、技術的の5分野で30種類が挙げられているが、現実化の可能性およびインパクトの双方において、環境的リスク(異常気象、生物多様性の喪失と生態系の崩壊、大規模天災、人為的環境破壊、気候変動対策の失敗)への懸念が他のリスクへの懸念を大きく引き離した。また、回答者約1,000人のうち59%がリスクは増大すると指摘したのに対し、減少すると指摘したのは7%であった。

世界経済フォーラム創設者・執行会長のクラウス・シュワブ氏は、「経済回復が進み、世界の諸機関、社会、環境の弱体化の原因となってきた様々な問題点に取り組む好機が生まれており、これを無駄にすることは許されない。我々はグローバルなシステムが崩壊するリスクを真剣に考える必要がある。それを防ぐためのリソースや新しい科学技術は存在するが、最大の課題は、共通の未来のために協働する意志と機運を見出すことだ」と述べている。