世界経済フォーラムは、2017年版の「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」を発表した。昨年と同様に144カ国が対象となっており、経済への参加と機会、教育、健康、政治の4分野に焦点を当てて男女の格差を調査している。2006年から毎年実施されており、今年は上記4分野に加えて、産業と職業にかかる男女格差についても分析されている。

本レポートでは男女平等の度合いを、ジェンダー・ギャップ指数として算出、公表している。指数の値は、0に近いほど不平等、100%に近いほど平等であることを表す。144カ国の平均では、昨年と変わらず健康分野では96%、教育分野では95%で男女の格差が埋まっている。他方、経済分野は58%となっており、一昨年から2年連続で格差が広がる形となった(昨年は59%)。政治分野は23%で昨年と数値は変わっていないが、歩みは遅いものの確実に進捗がみられると分析されている。ただし、各地域や国レベルでみると格差の値が後退している場合もあり、144カ国全体の平均値のみならず個別の状況を注視する必要性が指摘されている。

また、本レポートでは職業における男女格差の解消もキーポイントの1つであると指摘している。例えば、教育や社会福祉の分野では男性の活躍が伸び悩んでいる一方で、エンジニアリング部門や製造業、建設業等では女性の存在が薄い。職業には、その国の教育や政策の在り方、会社の姿勢も反映されると述べている。

ジェンダー・ギャップ指数の上位10ヵ国のランキングは以下の通りで、ランクが高いほど男女平等が進んでいる。1位のアイスランド以下は順位の入れ替わりがみられるものの、顔触れは昨年度と同じである。
1 アイスランド
2 ノルウェイ
3 フィンランド
4 ルワンダ
5 スウェーデン
6 ニカラグア
7 スロベニア
8 アイルランド
9 ニュージーランド
10 フィリピン

日本は一昨年の101位、昨年の111位から2年連続で後退し、今年は過去最低の114位である。給与格差の是正など経済指数で進捗が見られた一方、政治参画の面では後退している。教育面では、過去数年間で大学等の高等教育機関への入学者数で男女差が無くなっている状況を踏まえ、男女格差はほぼ100%解消したとしている。