2022年5月13日

経済産業省は、「人材版伊藤レポート2.0」に併せて「実践事例集」と「人的資本経営に関する調査 集計結果」を公表した。本報告書は、2020年9月に公表した「人材版伊藤レポート」が示した経営戦略と連動した人材戦略の実践について内容を深掘りするため設置された「人的資本経営の実現に向けた検討会」における検討結果をまとめたものである。

経済産業省は、デジタル化や脱炭素化、コロナ禍における人々の意識の変化など、経営戦略と人材戦略の連動を難しくする経営環境の変化が顕在化するなかで、非財務情報の中核となる「人的資本」の重みが増してきているとしている。

また、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、人的資本に関する記載が盛り込まれた一方、人的資本に関する日本企業の取組は道半ばであり、コーポレートガバナンス・コードへの対応を形式的なものとしないためにも、一歩踏み込んだ、具体的な行動が求められているという。

本報告書の狙いは、「人的資本」の重要性を認識するとともに、人的資本経営という変革を、どう実践に移していくかを主眼とし、有用なアイディアを提示するものである。経営陣が人的資本経営へと向かう変革を主導することを期待するとしている。

実践事例集では以下の19企業を取り上げ、「経営戦略と人材戦略の連動」、「As is - To beギャップの定量把握」、「企業文化への定着」の3つの視点と5つの共通要素の観点から各企業の取り組みをまとめている。

旭化成、アステラス製薬、伊藤忠商事、荏原製作所、オムロン、花王、キリンホールディングス、KDDI、サイバーエージェント、双日株式会社、ソニーグループ、SOMPOホールディングス、東京海上ホールディングス、日立製作所、丸井グループ、三井化学、三菱ケミカル、LIXIL、ロート製薬