2021年6月10日

総額約2.7兆ドルを運用する180の投資家と155の企業、58の非営利団体が、米証券取引委員会(SEC)に対し、気候変動に関する情報開示の義務化を要請した。気候変動に起因する金融リスク等から投資家を守るため、規制機関としての役割を果たすよう声明を発表したもの。

声明では、以下の点をSECの気候関連の情報開示規則に盛り込むことを求めている。

・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく提言:世界の投資家や企業に支持されているTCFDの提言に基づくべきである

・産業固有の評価基準:開示情報の比較が可能な、産業ごとの特性に考慮した評価基準を含めるべきである。また、その指標は、投資家や企業が汎用的に使用している既存の基準に基づいて決定されるべきである

・ガバナンスと戦略の開示:企業の気候変動リスクのエクスポージャー、戦略、シナリオプランニングにおける洞察を提供するべきである

・排出量の開示:スコープ1、2、3の排出量を含めるべきであり、これは企業が直面する気候変動リスクを全面的に評価するために必要である

・有価証券報告書への記載:リスクエクスポージャーやビジネスチャンス、戦略への影響、排出量の報告と管理など、重要な気候関連の情報は、年次、四半期、その他関連するSEC提出書類に含まれるべきである

・定期的な更新:気候変動の影響に関する科学的コンセンサスや、気候変動リスクに対する資本市場の対応は急速に進展していることから、こうした進展に対応して定期的に更新されるべきであり、新たな評価基準の開発や導入も考察に含めるべきである