120以上の機関投資家、世界の大手企業に従業員とサプライチェーンの労働者に関する情報開示の改善を要求
2019年7月 1日
企業の労働に関する情報開示の改善を目指す投資家の共同イニシアチブ「労働力開示イニシアチブ(仮訳)(WDI:Workforce Disclosure Initiative)」は、世界の大企業に対して、従業員とサプライチェーンの労働者に関する情報開示の改善を、改めて要請した。
WDIは、英国政府の資金援助を受け、英非営利組織ShareActionが運営しているイニシアチブである。2017年の発足以来、参加する機関投資家の数は120を超え、合計運用資産総額は14兆ドルに上る。世界の大手企業750社に対して、安全衛生、労働者の権利、ダイバーシティ、賃金水準を含むさまざまなトピックについての標準化されたデータ開示を拡大するよう要求しており、これに応じてすでにマスターカード、ネスレ、トヨタ等、多数の企業がWDIへの開示を行っている。これらの企業の合計従業員数は2018年に800万人以上となり、さらに各社サプライチェーンの労働者の数百万人がこれに加わる。
投資家の多くはWDIのデータを企業とのエンゲージメントに活用しているほか、株式の分析に組み込みはじめたところもある。WDIは、多国籍企業と、そのサプライチェーンにおける労働慣行の改善を長期的に目指しており、これは貧困の緩和と、持続可能な開発目標(SDGs)の目標8「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現にも資するものとなる。