2019年3月21日

国連人権理事会が、「環境人権活動家(EHRDs:Environmental Human Rights Defenders)」および彼らの保護の重要性を認める決議を採択した。この種のものとしては初の決議となる。同決議が行われたのは、環境人権保護の活動家をめぐる現在の危険な情勢が背景にある。2018年には、過去最多となる321名の環境人権活動家が標的となり、殺害されている。

「環境人権」とは、気候変動や汚染などをはじめとする環境問題が、人権を侵害しているという新たな考え方である。環境人権の活動家は、安全・健康的で持続可能な環境によって人権を守るため、土地や生態系、先住民の諸権利を擁護する活動を行うが、脅迫やハラスメント、監禁、犯罪化、性的暴力といった深刻なリスクにさらされることが多い。特に人権意識の低い地域においては、暗殺されるなどの危険もある。

今回の決議では、各国が環境人権を保障しなければならないとし、法律をはじめ包括的な保護に向けた対策を行い、攻撃や脅迫行為に対しては、捜査や説明責任の追及を行うよう求めている。また企業に対しても、安全かつ健全で、健康的な環境への権利に配慮することを含めた人権デューディリジェンスを実施するよう要請している。こうした取り組みには、潜在的に影響を受ける可能性がある集団や、関連するステークホルダーとの有意義で包括的なコンサルテーションの実施が求められる。


⇒関連するサービスはこちら <人権デュー・ディリジェンス導入>