2016年12月12日

メキシコ・カンクンで国連生物多様性会議が開催され、190を超える生物多様性条約(CBD:Convention on Biological Diversity)締約国代表が、生物多様性の喪失を食い止め生態系を保護する取り組みについて協議した。CBDが2010年に設定した世界生物多様性に関する「愛知目標」は、2020年に期限を迎えるが、目標の3分の2は達成が難しい状況。今後4年間での取り組み強化が必須となっている。

今回の会議では、167ヶ国の政府が、「愛知目標」の導入にあたって、生物多様性の主流化、キャパシティー開発、資金の調達など様々な方法論に合意した。合意には、生物多様性を林業、漁業、農業、観光業の分野に統合し、SDGsの達成につなげるためのアクションが盛り込まれた。

同会議では、「生物多様性の主流化(mainstreaming)」が中心的なテーマとなった。主流化とは、生物多様性の保護や持続可能な利用の問題を単独で考えるのではなく、広範な意思決定の中に組み込むこと。例えば、持続可能な開発、貧困削減、気候変動適応・軽減、貿易・国際協力など広範な分野の政策で、また、農業、漁業、林業、鉱業、エネルギー産業、観光業、輸送産業などの産業別開発計画や戦略でも、生物多様性の主流化を適用することである。

CBD締約国会議COP13に先立って閣僚級ハイレベル会合が開催され、生物多様性の主流化に関する「カンクン宣言」が採択された。「地球環境国際議員連盟(GLOBE)インターナショナル」主催の議員フォーラムは、カンクン宣言を歓迎する「カンクンコミュニケ」を発表。各国議会が愛知目標達成に向けて政府と協力することを誓った。

また、ハイレベル会合と並行して開催された「ビジネスと生物多様性フォーラム2016(2016 Business and Biodiversity Forum)」には、企業や政府、NGOから250人以上の専門家が参加し、ビジネスの視点から生物多様性について議論した。農業、林業、漁業、観光業の4分野に焦点を絞り、特にビジネスの視点から見た生物多様性の主流化について、投資の機会や法規制の枠組み、事業における意思決定といった側面を取り上げた。さらに、自然資本会計・金融や、気候変動と生物多様性の関連性、サプライチェーンの方針などについても検討した。