2018年9月17日

米カリフォルニア州サンフランシスコにおいて、9月12日から14日まで初となる「グローバル気候行動サミット」(Global Climate Action Summit)が開催された。地方自治体と「非国家主体」による温暖化対策への取り組みに焦点が当てられたもので、世界各国の企業や自治体、市民団体等から4,000人超が参加した。

日本からは、今年7月に設立された気候変動対策に積極的に取り組む企業や団体からなるネットワーク「気候変動イニシアティブ(JCI:Japan Climate Initiative)」より20名以上が参加し、日本の非国家アクターによる取り組みをシンポジウムやパネルディスカッションにて発信。また、米国の非国家アクターのネットワークである「アメリカズ・プレッジ(America's Pledge)」と覚書を締結し、温室効果ガス削減に向けた企業や自治体のベストプラクティス、戦略やデータを共有し、対策の強化に取り組んでいくことで合意した。アメリカズ・プレッジは、同サミットの共同議長を務めるカリフォルニア州知事のジェリー・ブラウン氏や、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏(国連気候変動対策特使)によって設立されたもの。JCIの末吉竹二郎代表呼びかけ人(国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問)は、「日米の非国家アクターの協調は、脱炭素社会に向けて大きな推進力になるだろう」と述べた。

同サミットにおいては、多くの企業や団体から気候変動対策へのコミットメントが発表された。カリフォルニア州は、2045年までに州のカーボン・ニュートラルを実現するとした州法に署名した。港湾セクター(オランダのロッテルダム港を中心とした5つの世界の主要な港)では、脱炭素化を進める連合の結成が発表された。

インドの自動車製造企業のマヒンドラからは、2040年までのカーボン・ニュートラル宣言、フランス電力(EDF)からは、炭素排出量の削減目標と2050年までのカーボン・ニュートラル宣言などが発表された。また、世界最大のタイルカーペットメーカーのインターフェース社は、2040年までにカーボン・ネガティブを実現すると表明した。

さらに、21のIT企業による同盟「Set Up Declaration」が発足したが、人工知能(AI)、クラウド・コンピューティング、IoTを含む第4次産業革命の技術を活用し、金融・通信・運輸など全ての経済セクターの温室効果ガスの削減を目指すとしている。顧客関係管理(CRM)で著名なセールスフォースが中心となり結成したもので、HP、ウーバー、ノキアなどのIT企業が名を連ねている。

同サミットは気候変動対策の次の段階として、5つの課題(1.健全なエネルギーシステム、2.インクルーシブな経済成長、3.持続可能なコミュニティ、4.土地と海の管理、5.変革をもたらす気候変動対策への投資)を掲げ、非国家主体による取り組みを後押しするとともに、各国政府に対しても速やかな対応を促すものとなった。