2016年3月16日

国際エネルギー機関(IEA)が3月16日に報じた予備データの分析結果によると、人為的に排出されている最大の温室効果ガスである、エネルギー起源のCO2排出量は2年連続で横ばいとなった。

2015年世界のCO2排出量は321億トンで、2013年より同水準を維持している。新規に生成された電力のうち、再生可能エネルギーが全体の約90%を占めたが、そのうち風力発電は半分以上にのぼった。これに並行して世界経済は3%以上成長し、昨年に続き経済成長と排出量の関連性に「デカップリング」が見られた。

IEAのエグゼクティブ・ディレクター、Fatih Birol氏は「昨年、驚きとともに歓迎されたニュースを裏付ける新たなデータが確認でき、2年連続で温室効果ガスの排出量が経済成長から切り離されるデカップリング現象がみられた。パリでの画期的な合意からほんの数ヶ月だが、気候変動への戦いをさらに後押しする」と述べた。

IEAがデータを収集している40年間以上の中で、CO2排出量が前年と同等かそれ以下だったのは、今回を入れて4回となる。そのうち3回(1980年代初頭、1992年、2009年)は世界経済の低迷と関連しており、経済が成長を維持しつつCO2排出量が横ばいだったのは今回が初めてである。

2大排出国は中国と米国だが、中国は2年連続で石炭の使用が減り1.5%の減少、米国は電力用に石炭から天然ガスへの切り替えが大幅に進み2%の減少となった。中国では電力用の石炭使用が2011年と比較し10%減り70%以下となり、水力と風力を中心とした再生可能電力が同19%から28%に増加している。

一方、アジアや中東諸国での排出量増加で上記2国の削減量は相殺され、欧州では中程度の増加があった。