2018年12月21日

ビジネスと人権リソースセンター(Business & Human Rights Resource Centre)と、日本に拠点を置く人権活動団体のヒューマンライツ・ナウは、日本国内に拠点のあるアパレル企業62社にアンケートを送付して人権への取り組みについて調査した結果を発表した。回答率は33.8%と低く、人権に対応する仕組みの導入は初期段階であることがわかった。また、外資企業に比べて日本の企業の取り組みは全体的に大きく後れを取っていることが示された。日本のアパレル業界の取り組みの状況は深刻であり、2020年の東京オリンピック開催までに大幅な改善が求められる。

アンケートは2018年7月に郵送またはメールの送信により、主要なアパレル企業62社に送られた。対象企業には、インディテックス、H&M、ファーストリテイリング、GAPなどのグローバル企業や日本企業の上位30社などが含まれる。無回答だった企業には、しまむら、ワールド、青山商事、ユナイテッドアローズ、AOKI、アツギなどの有名企業も含まれていた。

回答があったのは21社で、そのうち12社には国際的な人権基準に沿った方針または調達ガイドラインがあった。一方、8社は人権デューディリジェンスを実施していなかった。サプライヤーに対して定期的に人権監査を実施しているのは14社だった。

トレーサビリティについては、ティア1のサプライヤーまで追跡できると答えたのは6社、ティア2までは9社、ティア3までは5社だった。

外国人技能実習制度(TITP)については人権侵害の温床になっていることが問題になっているが、回答企業のうちサプライヤーがTITPを利用して外国人を雇用しているかどうか分からないのが6社、利用があると答えたのが13社、サプライチェーンのTITP利用はないと答えたのは2社だった。

報告書は、結びとして日本のアパレル企業に対して、国際的な人権基準に基づく方針の策定やすべてのサプライヤーの追跡と開示、サプライチェーン全体における労働者や地域住民への救済手段の導入などを提言する。



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