2018年3月19日

世界銀行は、「大きなうねり:気候変動による国内移住者への備え(仮訳)(Groundswell: Preparing for Internal Climate Migration)」と題した報告書を発表した。この報告は、発展途上国の人口の約55%が居住するアフリカのサハラ以南、南アジア、ラテンアメリカの3つの地域に焦点をあてており、温室効果ガスの削減などへの共同での取り組みが行われなければ、緩やかに進行する気候変動事象の影響により、2050年までに1億4,000万人以上がそれぞれの国内で移動を余儀なくされる可能性があると述べている。

ひとたび、居住している地域が、水不足、農作物の不作、海面上昇、高潮などで生活が困難になると、人々は移住を余儀なくされる。最も貧しく、気候変動の影響に最も脆弱な地域ほど、実際に大きな被害と影響を受ける。こうした傾向は、気候変動による人口の流入・流出の激しい「ホットスポット」の出現と並び、気候変動の影響を受けやすいセクターや、インフラ・社会支援システムにとって、重要な意味合いを持つ。

報告は、温室効果ガス排出を大幅に削減し、大規模な開発に歯止めがかけられない限り、このような気候変動関連の国内移住は2050年にかけて増加し、さらに加速すると警告している。

同報告書は、各国、またグローバルレベルでの重要な取り組みとして、以下を提言している。
・世界の温室効果ガスの排出量を削減し、人々やその生活手段にかかる気候関連の圧力を減らし、気候変動による移住の規模を全体的に縮小する。
・気候変動による移住のサイクル(移住前・中・後)を考慮して、開発計画を転換する。
・国内の気候変動による人々の移住のトレンドなどの理解向上に向けたデータ収集や分析に投資を行う。