2016年4月29日

オーストラリア首都特別地域(ACT)政府のコーベル環境・気候変動相は4月29日、同地域の電力需要に対する再生可能エネルギーの供給目標を、2020年までに現在の90%から100%にすると発表した。

「再生可能エネルギー分野のリーダーとして、ACTは脱炭素による雇用と経済的利益をもたらすことができる。首都キャンベラ市民にクリーンな電力を供給すると共に、リバース・オークション制度(Reverse auction process)を通じて4億豪ドルを地域への投資に充てられる。今、目標を100%に引き上げることで、有利な市場の条件に乗じ、長期的に有利な価格を確保できる。連邦政府の再生可能エネルギー目標における政策フレームワークがつまずいても、排出削減目標を確実に達成できるだろう」とコーベル氏は述べた。

尚、ACT政府は予定している再生可能エネルギー入札の規模を109MWから200MWに引き上げる。新目標に合致するエネルギー設備容量を引き上げるため、現行の「フィード・イン・タリフ(固定価格買取)制度」を変更する法案の提出も予定されている。

ACT政府はキャンベラを再生可能エネルギーの技術革新と投資の国際的センターにすることを目指している。2020年までに100%を達成することにより、キャンベラは、気候変動に効果的対策をとる国際的なリーダー都市となる。

負担コストは、2020年に一世帯当たり毎週約5.5豪ドルをピークとし減少すると見られ、大部分がエネルギー効率改善に向けた法的措置による節電で相殺される予定。リバース・オークション制度の導入により、風力・太陽光発電の電力価格は過去最低となった。この価格下落は、100%再生可能エネルギーの最新の電力予測価格が、90%目標設定時の予測価格と同レベルになったことを意味する。

「この野心的な目標を4年以内に達成し、ACTは再生可能エネルギー目標の中でも最前線に位置することとなる。同目標は、新クリーンエネルギー技術を活用し温室効果ガス排出削減に取り組むACT政府の決意の表れである」とコーベル氏は述べている。