2017年7月17日

国連事務総長は、7月「持続可能な開発目標(SDGs)報告書2017 (The Sustainable Development Goals Report 2017)」を発表した。本報告書は、17目標のSDGs達成に向けた進捗状況をまとめている。各目標の進捗状況を、要約より一部抜粋し、以下に記述。

SDG 1(貧困撲滅):極度の貧困の状態にある人々の数は、1999年の時点における17億人より、7億6千7百万人へと急激に減少した。ここでは、社会的な保護システム、健全な雇用や貧困に対するレジリエンスを創ることなどの相関的な戦略に焦点が充てられる。

SDG 2(飢餓撲滅):ここ何年かで改善が見られるが、南アジアとサブサハラ地域の飢餓の人口は全体の3分の2を占めており依然深刻。飢餓への取り組みには、食料の増産だけでは対応できないとし、小規模農家の収入向上等への取り組みやフードセキュリティに向けた農業への投資が必要であるとしている。

SDG 3(健康と福祉):妊婦の致死率、結核等において2000年から2015年にかけて多くの側面で急速に改善した。主な健康上の優先的な課題を把握し、安全で低価格な薬やワクチンの世界的な普及、感染病の撲滅などの取り組みが求められている。

SDG 4(教育):貧困にある国で小学校に通えている子どもはおよそ10分の4。またサブサハラ地域の学校では、電気や安全な飲み水の普及が遅れている。

SDG 5(男女平等):男性優位の社会やその監修などによる根深いジェンダー差別を克服する法的枠組みが必要。パートナーからの女性への暴力、若年結婚などの課題が明らかになっている。

SDG 6(水と衛生):2015年では、52億人(世界人口の71%)が安全な飲み水へのアクセスができている。しかしながら20億人以上が、依然として強い水ストレス下にある国に居住している。

SDG 7(手頃でクリーンなエネルギー):電力へのアクセスについて改善がみられる一方で、約10億人は電力にアクセスできない。資金投入、政策面の取り組み、新技術の積極採用が必要である。

SDG 8(ディーセント・ワークと経済成長):2010-15年の一人当たり実質GDPは1.6%上昇。2016年の失業率は5.7%であり、児童労働は減少したものの依然として10人に1人と深刻なレベルである。

SDG 9(産業・イノベーションとインフラ):インフラ、産業、イノベーションが経済成長の3つの要因であり、包括性、レジリエンス、サステナビリティが加わって持続可能な発展を支える経済成長につながる。

SDG 10(不平等是正):国際的な経済や金融に関する意思決定において、発展途上国の意見反映がより一層必要である。

SDG 11(都市・居住地):2015年には40億人に達する世界人口の半数以上が都市に居住。大気汚染、住宅の不足、インフラなど急速な都市の成長に対応が必要。

SDG 12(責任ある消費と生産): 2000から2010年にかけて、一人当たりの資源消費の増加がみられる。資源消費と経済成長のデカップリングが急務である。

SDG 13(気候変動):災害リスク軽減の取り組みにもかかわらず、自然災害による死者数が増加。

SDG 14(海洋生物):海洋の酸性化、過剰な漁獲、海洋汚染などへの取り組みが必須である。

SDG 15(陸上生物):森林の占める土地面積は依然減少。生物多様性の低下、密猟は深刻である。

SDG 16(平和と正義):世界で2005年から2016年の間に、18%以上の企業が贈収賄に関わったとされる。途上国では25%、先進国では4%である。

SDG 17(パートナーシップ): ODAが2015年から2016年で8.9%増加しているなど徐々に改善しているが、さらなる取り組みが求められる。