2017年1月11日

世界経済フォーラムが「グローバルリスク報告書2017」を公表した。今後10年間に世界情勢を方向付けるトレンドとしては、経済格差、社会の分極化、環境危機の悪化が上位3つに挙げられた。

この調査報告は毎年実施されているもので、今年は、約750名の専門家が30のグローバルリスクと、リスクを増幅あるいはリスク間の相互関係を改める可能性のある13の根底的トレンドについて評価を行った。

調査からは次の3つの点が特に明らかとなった。

1) パターンの継続:13の根底的トレンドのうち、所得と富の格差の拡大が1位、社会の分極化の進行が3位にランクされた。また、最も相互関連性の高いリスクは、構造的失業の高さまたは不完全雇用と、深刻な社会的不安定さであることが指摘されている。

2) 環境がグローバルリスクの中心に:気候変動が根底的トレンドの2位にランク付けされた。また、5種の環境リスクが、初めて、起こり得る可能性が極めて高いとする「発生可能性」と、潜在的影響が極めて高いとされる「インパクト」の両カテゴリーに渡りランクインした。特に異常気象は両カテゴリー双方に入っており、リスクの重大性が明らかとなった。

3) テクノロジーの変化に対する社会の立ち遅れ:調査対象の12の新テクノロジーのうち、最大の潜在的利益をもたらすと考えられるのは人工知能とロボットであるが、同時にそれらがもたらす潜在的な負の影響力や、それらの管理の必要性もまた最大である。

今後10年に渡り、世界の指導者たちが協力して、困難と不安定さを回避するために対策を講じることが必要であると、報告書は指摘している。